ochiba

2026-10-21

バイオネストの作り方——枝で囲って落ち葉をためる堆肥場を、資料と現地で読む

バイオネストは、剪定で出た枝を積み重ねて囲いをつくり、その中に落ち葉を入れて腐葉土にする堆肥場です。名前の由来、材料、切り返しがいらないとされる理由、公園と自治体での導入と数字を、公園財団・府中市・江戸川区の資料から整理し、3年たったバイオネストで見たものを添えました。

竹林と落葉樹の林の中に、細い杭を地面に立てて枝を渡した低い囲いがあり、その中に枝つきの葉と落ち葉が積まれている。

樹林地を歩いていると、枝を積み重ねた囲いに出会うことがあります。中に落ち葉が入っています。資料では、これを「バイオネスト」と呼んでいます。資料に書かれていたことと、実際に3年たったものを見てきた話を並べます。

バイオネストとは、枝で囲ってつくる堆肥場

府中市の資料は、バイオネストを「剪定作業や下草刈りで発生した枝葉や草を利用してつくる、自然の風景と違和感のない堆肥置き場です」と説明しています。

江戸川区の説明は「樹木管理で切った枝を丸く積み重ねて、中に落ち葉を入れて堆肥(腐葉土)を作っています」。

名前は、バイオ(bio)=生命 と ネスト(nest)=巣 を合わせたもので、形が鳥の巣に似ていることからだと、公園財団の資料に書かれていました。

(出典:府中市「バイオネスト」 https://www.city.fuchu.tokyo.jp/shisetu/kankyo/koen/jumoku/syokuseikanri.files/9bio.pdf / 江戸川区「みどりのリサイクル(バイオネスト)」 https://www.city.edogawa.tokyo.jp/e066/toshikeikaku/kankyo/midori/midori/bionest.html / 一般財団法人公園財団「バイオネストとは・・・」 https://www.midori-hanabunka.jp/challenge/ |確度:市・区・財団が公開している資料の記載そのまま)

作り方——材料は、その場で出たもの

公園財団の資料によると、管理作業で出た剪定枝や幹をその場で組んで巣のような形をつくり、そこに落ち葉や刈草を入れます。

府中市が材料として挙げているのは、剪定した枝葉、落ち葉、下草刈りの草、抜き取った草です。どれも樹林地の手入れで出るものです。

江戸川区の資料には、学校や家庭でも大きさや形を変えてつくれると書かれています。

資料囲いの材料中に入れるもの
公園財団管理作業で出た剪定枝・幹落ち葉、刈草
府中市剪定した枝葉落ち葉、下草刈りの草、抜き取った草
江戸川区樹木管理で切った枝落ち葉、草

切り返しは、いらないとされている

落ち葉堆肥の手引きを読むと、切り返し——積んだものを掘り返して混ぜ、空気を入れる作業——が繰り返し出てきます。旭川市の手引きは季節ごとの目安を、北見市の手引きは1カ月後と3〜4カ月に1回を挙げています。

一方、公園財団の資料では、バイオネストは切り返しも微生物資材も必要とせず、温度、雨、昆虫、土壌生物、自然にいる菌によって分解が進むとされています。

同じ「落ち葉を土にする」でも、置き方によって人の手のかけ方が変わるようです。

資料切り返し
旭川市(落ち葉腐葉土の手引き)秋は仕込みの3〜5日後、春・夏は気温や乾きを見て
北見市(落ち葉の腐葉土の作り方)1カ月後に全体を混ぜ、その後は3〜4カ月に1回ほど
公園財団(バイオネスト)不要。微生物資材も使わない

(出典:旭川市土木部公園みどり課「落ち葉腐葉土を作ってみよう」 https://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/kurashi/408/700/d068007.html / 北見市「落ち葉の腐葉土の作り方」 https://www.city.kitami.lg.jp/administration/life/detail.php?content=1299 |確度:自治体が公開している手引きの記載そのまま)

数字——138タワーパークの例

公園財団の資料には、国営木曽三川公園 138タワーパークの数字が載っていました。

項目記載
開始2019年
基数2023年1月までの約4年で80基
処理量80基で当初235立方メートル、加えて年120立方メートル
運搬ダンプ約177台分が不要に
費用従来の処分と比べて76.8%の削減

同じ資料には、ボランティア活動としてカブトムシの飼育や生きもの観察につながったことも書かれています。

自治体での導入

江戸川区は令和2年(2020年)から、公園ボランティアの支援制度がある公園・緑地を中心に導入していると書かれています(ページの更新日は2026年7月13日)。府中市も資料を公開しています。

練馬区がバイオネストを制度として設けているかどうかを示す公的な資料は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。

利点として挙げられていること

府中市の資料は、バイオネストの利点として次の6点を挙げています。

  1. 剪定枝や草を現地で処分できる
  2. カブトムシ、コガネムシなど昆虫の幼虫の生息地となり、樹林の生態系の多様性が向上する
  3. 管理を続けるなかで出る樹木や枝を、継続的に受け入れられる
  4. きちんとつくれば、自然地のモニュメントとしての価値がある
  5. 協働作業を通じて、管理の大切さや楽しさの認識が広がる
  6. 不要になった場合も、そのまま放置すれば自然に土に還る

江戸川区も、運搬や焼却が不要になること、微生物や昆虫のすみかになること、土壌改良、樹木の生育を挙げています。

3年たったバイオネストで見たこと

2026年9月27日、練馬区内の氷川神社の樹林地で、3年続いているバイオネストのオープンデーに参加してきました。

何度も落ち葉が足されていて、その下には土ができていました。掘り返すと、ミミズ、ダンゴムシ、そしてカブトムシの幼虫が出てきました。この日はカブトムシの幼虫が今年いちばん多かったそうです。

府中市の資料が利点の2番目に挙げている「カブトムシ、コガネムシなど昆虫の幼虫の生息地となり」が、実際にそうなっている場所でした。

その場では「今年は」「去年なら」という会話が交わされていました。毎年の変化を確かめられる場所にもなっているようです。

落ち葉遊び場は、囲わずに地面を下げる

ochibaが考えているのは、枝で囲う形ではなく、地面を浅くくぼませて落ち葉をためる形です。囲いをつくらないぶん、誰でも落ち葉の中に入れます。

切り返しについて、公園財団の資料は不要としています。落ち葉堆肥の手引きは必要としています。落ち葉遊び場で考えているのは、その作業が子どもが遊ぶ中で自然と起きるのではないか、ということです。

落ち葉で畑の土をつくることがこの土地でずっと続いてきた話は武蔵野の落ち葉堆肥農法に、落ち葉をためて遊び場にする形の話は落ち葉遊び場とは何かに書いています。

資料から見える傾向

  • バイオネストは、剪定枝でつくった囲いに落ち葉を入れる堆肥場で、材料はすべてその場の手入れで出たもの
  • 名前は「生命の巣」の意味で、形が鳥の巣に似ていることから
  • 公園財団の資料では、切り返しも微生物資材も不要とされている。落ち葉堆肥の手引きが求める切り返しとは、考え方が違う
  • 138タワーパークでは2019年から約4年で80基。ダンプ約177台分の運搬が不要になり、費用は従来の処分と比べて76.8%の削減とある
  • 府中市は利点の2番目に、カブトムシやコガネムシの幼虫の生息地になることを挙げている。3年たったバイオネストでは、実際にカブトムシの幼虫が出てきた
  • 練馬区がバイオネストを制度として設けているかどうかは、今回調べた範囲では確認できなかった

関連:落ち葉遊び場とは何か/武蔵野の落ち葉堆肥農法/練馬区に、東京23区の農地の約4割がある

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