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2026-09-07

落ち葉遊び場とは何か——堆肥づくりの「切り返し」を、遊びが引き受けられるか

落ち葉が堆肥になるには、水分・空気・時間が要ります。水分55〜70%、切り返しは月1回程度、土になるまで約1年。公的資料で堆肥化の条件を確認し、落ち葉遊び場という考え方を整理します。

落ち葉の遊び場を地面ごと切った断面のドローイング。中央のくぼみに落ち葉が厚くたまり、そのまわりに人が立っている。右手に葉を落とした大きな木があり、地中には根と土の層が描かれている。

森の落ち葉は積もったまま土になり、街の落ち葉は袋にまとめられて運び出されます。同じ葉なのに、扱いが変わる。落ち葉遊び場は、この分かれ目をずらせないかと考えている構想です。

その前に、落ち葉が堆肥になるまでに何が必要なのかを、公的な資料で確認しておきます。

落ち葉が堆肥になる条件

堆肥づくりは、好気性微生物(酸素を使う微生物)に有機物を分解してもらう作業です。資料が挙げている条件は、おおむね次の3つに整理できます。

条件目安出典
水分55〜70%程度に調整秋田県「堆肥化発酵の6条件」
C/N比(炭素と窒素の比)35以下。落ち葉堆肥の実測では完成品で16〜20都道府県施肥基準/東京大学 環境三四郎
酸素切り返しで確保する秋田県(同上)

酸素の条件が、この構想の出発点です。秋田県の資料は、切り返しをしないと「表面の30cm程しか発酵しない」と書いています。落ち葉を積んでおくだけでは、下は分解が進まない。だから掘り返して、混ぜて、空気を入れる必要があります。

出典と確度:秋田県「堆肥化発酵の6条件」(PDF)(県の一次資料)、都道府県施肥基準「堆肥など有機資源の利用」(農林水産省サイト・PDF)(一次資料)、東京大学 環境三四郎 落ち葉堆肥化プロジェクト(PDF)(2010年・実測記録)

切り返しの回数と、できるまでの期間

落ち葉堆肥について、自治体やJAが公開している手順を並べると、切り返しは月1回前後、完成までは約1年というあたりに収まります。

資料切り返し完成まで
川崎市宮前区『落ち葉堆肥の作り方』月1回程度1年程度(実例は10か月)
JA京都1か月ごとに3〜4回1年程度
JAさいたま1か月に1回程度1年程度
旭川市(寒冷地)秋の仕込み後3〜5日で1回目、春以降も実施約1年

熊本県の普及機関の資料には、切り返しの頻度と分解速度の関係も示されています。月1回の切り返しなら堆肥化に約133日、週1回なら約100日(乾物分解率からの計算)。混ぜる回数が多いほど、早く土になります。

窒素源として米ぬかや油かすを落ち葉の重量の1〜2%程度加える、という記述はJA京都・JAさいたまに共通します。樹種にも向き不向きがあり、川崎市宮前区の資料はケヤキ・コナラ・クヌギを向いている樹種、イチョウ・クスノキ・スギを向いていない樹種として挙げています。

出典と確度:川崎市宮前区『落ち葉堆肥の作り方』(PDF)、JA京都『落ち葉堆肥の作り方』、JAさいたま 広報誌(2020年12月)、旭川市『落ち葉腐葉土を作ってみよう』、熊本県 球磨地域振興局「良質な堆肥生産について」(いずれも自治体・JAの一次資料)

落ち葉堆肥の温度

落ち葉を積むと、分解にともなって山の内部が温まります。温度は材料と山の大きさで決まり、落ち葉だけを積んだ場合の実測値は次のとおりです。

積み方到達温度出典
自治体が集めた落ち葉のウィンドロー(高さ・幅とも3〜3.6m)、積んで約1週間60〜71℃ミネソタ州公害管理局(1980年)
木枠 1m×1m×1m、仕込み後3〜5日ごろ50℃超旭川市
幅1m・高さ1m程度(米ぬかを添加、切り返しは3週に1回)60℃以上東京大学 環境三四郎(2010年)

温度が上がるかどうかを分けるのは、まず山の大きさです。小さい山ほど体積に対する表面積が大きく、熱が逃げます。堆肥化が進む最小の大きさとして、米国の大学の普及資料は1立方ヤード(約0.76m³=90cm角)、日本の実践記録は1m³を挙げています。コーネル大学の資料によれば、10ガロン(約38L)を超える程度の容器では2〜3日で40〜50℃、自治体規模では3〜5日で60〜70℃、それより小さい容器では30〜40℃どまりです。

温まらないときの原因として、コネチカット大学の普及資料は次を挙げています。山が小さすぎる、水分が足りない、窒素が足りない、微生物が入っていない、空気が入っていない(落ち葉が層状に固まっている)、材料が大きすぎる。落ち葉のC/N比は40〜80で、堆肥化に適した30より高いため、落ち葉だけでは分解がゆっくり進みます。

管理の目安として、コーネル大学は60℃を超えたら、または32℃を下回ったら切り返すとしています。落ち葉堆肥に適した温度域は、ニュージャージー州のマニュアルで20〜60℃、コネチカット州の落ち葉堆肥講習資料で38〜60℃です。なお、米国の堆肥に関する規則では、ウィンドロー方式で55℃以上を15日間(その間に5回以上の切り返し)、密閉式・強制通気方式で55℃以上を3日間が基準とされています。多くの雑草の種が死滅する温度は63℃です(米国東北部農業工学サービス)。

まとめ:落ち葉だけを積んだ場合、1m³程度の山で50〜60℃台、自治体規模の大きな山で60〜71℃に達します。1m³を下回ると熱が逃げて温度は上がりにくくなります。

出典と確度:Minnesota Pollution Control Agency『Leaf Composting: A Guide for Implementation in Municipalities』(1980年)(州機関の一次資料)、旭川市『落ち葉腐葉土を作ってみよう』(自治体の一次資料)、東京大学 環境三四郎 落ち葉堆肥化プロジェクト(PDF)(2010年・実測記録)、Cornell University『Compost Physics』・『Composting Ingredients』・『Turning Windrows』(大学の普及資料)、UConn Extension『Composting troubleshooting guide』(2023年)(大学の普及資料)、Rutgers/NJ DEP『New Jersey's Manual on Composting Leaves』(1994年)、Connecticut DEP『Operator's Notes for a Short Course on Municipal Leaf Composting』(1990年)(州機関の一次資料)、40 CFR Part 503 Appendix B(米国連邦規則)、NRAES-54『On-Farm Composting Handbook』(1992年)

これからの予定

2026年11月ごろに落ち葉堆肥づくりの講習会を予定していて、そこがはじめの実地になります。日程が決まりましたら、このサイトと Instagram でお知らせします。


関連:武蔵野の落ち葉堆肥農法/練馬区の農地は今どれくらいあるのか

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