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2026-09-07

練馬区の農地は今どれくらいあるのか——数字で見る都市農業のまち

練馬区は23区で農地面積が最大で、区は「区部の農地の4割」と説明しています。農地面積171.36ha、農家364戸、キャベツ1,735アール。区の統計から練馬の農業の現在地を整理し、農地面積に3つの数え方があることも書いています。

落ち葉が土になったくぼみから、大人と子どもが堆肥を掘り出し、袋や軽トラックで運び出しているドローイング。

練馬区は、東京23区でいちばん農地の多いまちです。区は「東京区部農地の4割を占める」と説明しています。では実際に何ヘクタールあり、何をつくっていて、どう変わってきているのか。区の統計で整理します。

農地面積には、3つの数え方がある

まず押さえておきたいのが、農地面積の数字が資料によって違うことです。数え方が3種類あります。

数え方最新値出典
課税面積(市街化区域内農地)171.36ha(令和6年1月1日)練馬区統計書・農業委員会
空中写真の判読(みどりの実態調査)203.43ha(令和3年度)練馬区みどりの実態調査
経営耕地面積(農林業センサス)102.26ha(2025年2月1日・速報)東京都の統計

練馬区の統計書自身が「本調査の基準で算出しているため、練馬区統計書等の数値とは一致しない」と注記しています。どの数字を引くかで話が変わるので、資料を示すときは数え方もセットで書くのが安全です。

課税面積の推移は次のとおりで、9年間で約47ha(2割強)減っています。

年(1月1日現在)市街化区域内農地
平成27年218.86ha
平成31年199.69ha
令和3年188.68ha
令和6年171.36ha

出典と確度:練馬区統計書 令和7年版 第5章 農業(PDF)(区の一次資料・確度高)、練馬区みどりの実態調査 令和3年度(PDF)(区の一次資料)、東京都の統計 2025年農林業センサス速報(都の一次資料・速報値)

「区部の4割」という区の表現については、算出年次が資料に示されていません。指標によって割合は変わります(生産緑地面積ベースでは令和3年時点で区部395.64haのうち練馬175.54ha)。正確な数字が要るときは、引用元の発行年をご確認ください。

何をつくっているのか

区の農業委員会が毎年行っている農業経営実態調査(令和7年8月1日現在)から、作付面積の多い順に。単位はアール(1a=100㎡)。

品目面積品目面積
キャベツ1,735aネギ439a
枝豆851aほうれん草406a
大根774aこまつな346a
ブロッコリー733aにんじん313a
ジャガイモ573aトマト303a
トウモロコシ549aサトイモ299a

野菜類の合計は9,760a。ほかに柿703a、ブルーベリー654a、花類810a、植木763aなど、延べ生産面積は15,278aです。

出典と確度:練馬区農業委員会「農業経営実態調査」令和7年度結果(PDF)(区の一次資料・確度高)

誰がつくっているのか

同じ実態調査で、令和7年8月1日現在の農家は364戸、農業従事者792人、耕作面積は16,690.95a(うち生産緑地14,240.38a)。令和3年の415戸から4年で51戸減っています。

内訳を見ると、専業10戸・第1種兼業12戸に対して第2種兼業が342戸。多くの農家が農業以外の収入と組み合わせて営農しています。

農林業センサスでは、2025年の練馬区の農業経営体数は204(区部計650)。ただし統計書に注記があるとおり、平成27年以前は「販売農家」、令和2年以降は「経営体」で数え方が変わっているため、年をまたいだ単純比較はできません。

生産緑地は581地区・155.79ha(令和7年9月現在)。市街化区域内農地の9割以上が生産緑地です。

出典と確度:農業経営実態調査(上記)、練馬区統計書 令和7年版、練馬区「生産緑地地区」(いずれも区の一次資料)

畑に入る仕組みが、すでにある

練馬の特徴として知られているのが農業体験農園です。農家が主体となって運営し、区が施設整備費の助成や利用者募集を支援する方式で、平成8年(1996年)4月に第1号「緑と農の体験塾」が開園しました。練馬区が発祥地です。

令和7年4月1日現在で17園・1,859区画・76,619㎡。1区画30㎡が標準で、利用料は年43,000円(区民)。平成21年には日本農業賞 大賞を受賞しています。区民農園も26園・1,881区画あります。

出典と確度:練馬区「農業体験農園」、練馬区統計書 令和7年版 表39(区の一次資料・確度高)

みどりの4分の3は、民有地にある

区全体のみどり率は23.9%(令和3年度、区面積4,808ha)。平成23年の26.9%から下がり続けています。内訳では、樹木地767.38ha(16.0%)、農地203.43ha(4.2%)。

注目したいのは、平成28年度から令和3年度の5年間の増減です。公共のみどりは5.0ha増えた一方、民有地のみどりは77.9ha減りました。区の報告書は「区内のみどりの約4分の3を占める民有地のみどりは、所有者や地域の皆さんの努力で守られています」と書いています。

出典と確度:練馬区みどりの実態調査 令和3年度(区の一次資料・確度高)

落ち葉をめぐる、区の動き

  • 落ち葉清掃(区民協働):令和3年度に始まった取り組み。落ち葉シーズンの11〜12月に、民有の保護樹木・保護樹林地の周辺で行われます。令和7年度はのべ217名が参加し、区内6か所で全19回実施
  • 自家製堆肥の生産自粛と、その見直し:福島第一原発事故を受け、平成23年から落ち葉・剪定枝を原料とする堆肥の生産・施用が見合わせとなっていましたが、令和2年に見直され、東京都の指導の下で適切に管理することを条件に、すべての生産者による堆肥の生産と施用が可能になりました
  • 肥料「練馬の大地」:区立小中学校などの給食の残菜を原料とした肥料(区の登録商標)。区内の農家や家庭菜園で使われています

落ち葉や剪定枝の収集量・堆肥化量を示す区の公表値は見つかりませんでした。

出典と確度:練馬区「落ち葉清掃」、練馬区「落ち葉・剪定枝を利用した自家製堆肥の生産自粛について」、練馬区「肥料『練馬の大地』」(いずれも区の一次資料)

数字から見える傾向

区の統計を並べると、次のことが読み取れます。

  • 農地は減り続けている(課税面積で平成27年218.86ha → 令和6年171.36ha)。農家も令和3年415戸 → 令和7年364戸
  • 残っている農地の9割以上は生産緑地で、担い手は第2種兼業が9割以上を占める
  • みどりの減り方は、公共と民有で逆を向いている(平成28年度→令和3年度で公共は5.0ha増、民有地は77.9ha減)
  • 一方で、区民が農に関わる仕組みは整えられてきた(体験農園17園1,859区画、落ち葉清掃は令和7年度にのべ217名)
  • 落ち葉・剪定枝を原料とする自家製堆肥は、令和2年の見直しで条件付きで生産・施用ができる

減っているのは農地と民有地のみどりで、増えているのは区民が関わる仕組みの側、という対照になっています。


関連:武蔵野の落ち葉堆肥農法/落ち葉遊び場とは何か

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